【実釣編】テンカラ釣りの対象魚の居場所(ポイント)について

【実釣編】テンカラ釣りの対象魚の居場所(ポイント)について

概要

日本の独特の山岳地形が生み出す渓流は、ゆったりと流れる大陸の流れと異なり豊かな表情を持っています。

川の流れを単純化してみると、川のカーブにはたいてい淵があり、その淵と淵を瀬がつないでいます。

地形的にいえば、急激に地形が変化している場所には滝や早瀬があり、そこには淵への落ち込みがあります。淵にはゆっくりと流れる深瀬、深瀞があり、淵尻を通って瀬が始まります。

平坦な地形は瀬が続き、水深の浅い瀬はチャラ瀬と呼ばれます。

水温が高く魚の活性が高い時は、瀬などの浅場に魚が出てきます。

水温が低い時は、淵に多くの魚が入っている場合が多いです。条件のよい瀬の下の淵であれば、エサは淵に豊富に流れ込むので、それだけ魚も付きやすいです。

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淵について

隠れ場所となるエゴがあり、流れてくるエサも溜まる、渓流魚にとっての快適な居場所が淵です。

曲流点の淵

2019年6月 大血川(埼玉県)

上の写真のように毛バリを流したところ、23㎝のヤマメがヒットしました。

落ち込みの淵

2007年5月 小百川(栃木県)

淵では最も典型的な形状です。岩盤や大岩などの障害物で流れが落ち込み、その下に淵が形成されています。

巻き返しのある淵

2019年8月 入山沢(栃木県)

巻き返しは、落ち込みなどの強い流れの脇に出来る、上流に向かって反転しながら渦巻く緩い流れのことで、特にイワナの典型的なポイントです。

上の写真のように毛バリを流れに沿って流したところ、巻き返しのあたりで23㎝のイワナがヒットしました。

瀬について

瀬の奏でるせせらぎは日本人がこよなく愛する川音のひとつで、瀬は渓流魚にとって最も軽快な遊び場です。

ここでは盛期のポイントとなる瀬を、平瀬、荒瀬、チャラ瀬を例に説明しています。

2019年8月 魚野川(新潟県)

写真は石がしっかり入った明るい瀬で、水生昆虫がつく底石が明瞭なため、有望なポイントが数多くあります。

大きな石の付近を通過するようにていねいに毛バリを流すことで、ヤマメ・アマゴの釣果が期待できそうです。

2005年9月 木ノ根沢川(群馬県)

写真は増水時の荒瀬の一例で、大小の岩が作り出す緩急の流れの変化は複雑そのものです。

普通、水流が集まり、落差をかけて一気に流れる場所にはほとんど魚は着いていません。上の例では中央の大岩の左上ないし右下にイワナが着いている可能性があります。

2007年4月 湯西川(栃木県)

小石が連続するチャラ瀬は、大物は着かない代わりに中小型の数釣りが出来る場所です。水深が浅いので食い気があれば第1投で出ます。瀬の中の比較的大きな石まわりで白波が立つところがポイントになります。

チャラ瀬の魚は石を離れてまで毛バリを追わないので、石まわりをなめるようにして毛バリを流します。釣り人が身を隠す場所がないのでアプローチは慎重にします。釣り下りは厳禁です。

滝について

滝には主とも呼べるような大イワナが居着いていることが多く、貴重なポイントのひとつです。滝は流水の太さを除けば淵の一形態といえ、構造も淵と同様、複雑な流れから成り立っています。

ただし、淵との大きな違いは、流水が落ち込んだ周囲が深くえぐれ、その周囲に魚の隠れ場所ともなるエゴが複雑に散在していることです。この面でエゴは相当量の魚を擁していると考えられるものの、採餌場所は落ち込みとは離れた岸寄りや、大岩の背後などの緩流部となります。

また、意外にも滝のエリアから次の流れに移る浅場にイワナが定位していたりするので、手前から丁寧に釣っていきます。

2019年8月 入山沢(栃木県)

堰堤について

滝と攻め方は同じです。堰堤には岸からアクセスしやすい道が付いていて、放流スポットになっていることもあります。それもあって魚の数も比較的多いですが、狙いやすいポイントであるため釣り人が絶え間なく竿を出すハイプレッシャーな状況となりがちで、魚はスレています。特にテンカラでは見た目よりも成果の出にくいポイントだと思います。

2008年8月 土呂部川(栃木県)
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おまけ

ワコムのペンタブレット「One by Wacom」と、描画ソフト「CLIP STUDIO PAINT PRO」および公式ガイドブックを購入して描画してみました。購入費用は全部で2万円弱です。

まともに絵を描くのは二十数年ぶりでしたが、デジタル絵画は描き直しや色の修正などが自在に出来るため、素人なりに何とか完成にこぎつけることが出来ました。

背景の堰堤は上の写真を参考にしています。

「堰堤にて」 2020年 CLIP STUDIO PAINT PRO



(おわり)

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