はじめに
毛バリは消耗品です。ポイントをタイトに攻めるほど、毛バリをロストするリスクは高まります。
市販の毛バリは美しく巻かれていていかにも釣れそうですが、それなりに値段も高いので、ロストを怖れて難しいポイントを攻めることを躊躇しがちです。
一方、毛バリを自作する場合は、選択するマテリアル(材料)にもよりますが、こだわらなければすでに身の回りにあるものや100円ショップで売られているものを利用し、単位あたりの製作コストを実質ハリ代の費用のみにまで下げることが出来ます。
また、自作した毛バリで魚を釣り上げた時の喜びは格別です。
毛バリ巻きの材料と道具
ハックル(羽根)
フライショップでは少量の鳥の羽根がそれなりに高い値段で売られていて、筆者の懐具合では購入を躊躇してしまいます。
そのため、代用品としてホームセンターでホコリを払うための毛ばたきを購入し、羽根をむしって毛バリのハックルとして利用しています。
スレッド(糸)
100円ショップで売られているミシン糸を利用しています。
複数色がパッケージになっているので、毛バリの色にバリエーションをつけることが出来ます。色はおそらく釣果にはあまり関係がないのでしょうが、自分のセンスを反映させた色の毛バリで釣れるところを想像すると楽しい気分になります。
ハリ
大きさを表す数字が小さいほど、大きなハリということになります。
筆者は♯12を中心に、♯10、♯14の3種類を使用しています。
ティムコ(TIEMCO) フライフック スモールパック TMC100 12号
タイイングツール
筆者は長年にわたってSUNRISE(サンライズ)ロイヤルコーチマンツールキットを使用して毛バリ巻きを行っています。
下の写真の①~⑧のツールが小さめのボックスにコンパクトに収められています(⑨~⑪は別売り)。
ボックスをバイスの土台として使用できるのが最大のメリットと感じます。ただし、かなり以前の製品であるため現在において同製品を入手するのはやや難しいようです。
ツールの名称と用途は以下の通りです。
①バイス:ハリを固定する
②ボビンホルダー:胴を巻くスレッド(糸)をセット
③シザース:スレッド(糸)やハックル(羽根)のカット
④ダビングニードル:仕上げとしてスレッド(糸)の結び目に接着剤を少量付けて固める時に使用
⑤ボビンスレッダー:ボビンホルダーのパイプにスレッド(糸)を通す
⑥ダビングツイスター:ダビング材を用いて毛バリのボディを作る時に使用(筆者はダビング材を使わないので、未使用)
⑦ウィップフィニッシャー:最後にスレッド(糸)を結んで留める(⑨と用途がかぶるので、筆者はあまり使わない)
⑧ハックルプライヤー:ハックル(羽根)などの毛先を挟んで固定する
⑨ハーフヒッチャー:スレッド(糸)を半ひねりして固定する(⑦より簡単)
⑩ヘアスタッカー:獣毛などの毛先をそろえる(フライフィッシング定番のエルクヘアカディスを巻く時には活躍)
⑪接着剤:最後にスレッド(糸)を固定する
ティムコ(TIEMCO) フライタイイングキットDX ベーシック
毛バリ巻きの手順
テンカラ大王こと石垣尚夫先生の書籍「超明快 レベルラインテンカラ」(つり人社/2011年)を参照し、「バーコードステルス毛ばり」を模倣します。
ただし、ハックル(羽根)は市販の鳥の羽根ではなく掃除用具の毛ばたきの羽根を使用しているので、筆者はこの毛バリを「バーコードステルスもどき」と呼んでいます。もちろん問題なく釣れます。
毛バリ巻きの手順は以下の通りです。
①バイスにハリを固定する
②まずヘッドを巻く(下巻きは不要)
③事前に余分な下側をカットして処理しておいた羽根の軸をハリに添えてスレッド(糸)でしっかり巻き付ける
④ハックルプライヤーでハックル(羽根)の先端部をつまみ、ボビンホルダーとハックルプライヤーを写真の位置に持ってくる
⑤ハックル(羽根)をハリ先の方向に数回巻き付ける
⑥余ったハックル(羽根)をスレッド(糸)で巻き込み余分なハックル(羽根)をカット、スレッド(糸)を巻き付け胴を作る
⑦スレッド(糸)をグルグル巻いて胴を作る
⑧ハーフヒッチャーを使ってスレッド(糸)をヘッドで固定し、、ダビングニードルの先に接着剤を少量付けて補強する
⑨出来上がり
石垣先生によると慣れれば1分で巻けるとのことですが、筆者は未熟で10分ほどかかります。
参考文献