プロローグ
夏休みも残り少なくなった土曜日、東武鉄道を利用して単独の電車釣行をしました。
目的地は栃木県の中三依温泉駅から程近い男鹿川を中心とするエリアです。東京駅発のタイムスケジュールの一例を以下に示しましたのでご参考まで。
交通機関 | 出発駅 | 出発時刻 | 到着駅 | 到着時刻 | 所要時間(分) | 料金(円) |
JR・私鉄 | 東京 | 5:43 | 中三依温泉 | 10:05 | 262 | 2480 |
徒歩 | 中三依温泉 | 10:10 | どんどん滝 | 10:25 | 15 | 0 |
テンカラ釣り | ||||||
徒歩 | 入山沢 | 12:30 | 古代村 | 13:00 | 30 | 0 |
食事 | ||||||
徒歩 | 古代村 | 14:15 | 中三依温泉 | 14:20 | 5 | 0 |
JR・私鉄 | 中三依温泉 | 14:35 | 東京 | 18:25 | 230 | 2720 |
合計 | 5200 |
なお、会津鬼怒川線の新藤原駅からは現金のみの精算でSuica、PASMOは使えないうえに中三依温泉駅は無人駅なので、車内での精算を忘れると未精算のまま改札を出ることになるので注意が必要です。
駅から徒歩で3分ほどのところに「みよりふるさと体験村 男鹿の湯」というキャンプ場があります。若者グループで賑わうサイトを眺めながら管理棟に行き、受付でおじか・きぬ漁業協同組合の遊漁券を1500円で購入しました。
入山沢
まずは男鹿川支流入山沢のどんどん滝付近に入渓しました。大水によって水量が増すと、水の落下音が「どんどん」と三依の村に響いたことからこの名が冠されているようです。その美観は眺めるだけでも十分満足です。
今日の毛鉤は、夏の渓流で効果を発揮しそうだと私が勝手に思っているテンカラ大王こと石垣尚男先生の「バーコードステルス毛鉤」を模倣し、ホコリを払うための毛ばたきの羽をむしってハックルに流用、♯12のフライフックに巻いた毛鉤です。いわば「バーコードステルスもどき」です。
滝壺は十分魚の付き場になりそうで、そこを含む周辺のめぼしいポイントに毛鉤を打ち込みますが、アタリはありませんでした。
これはある程度想定内なので、しばし滝の美観を堪能したのち、一旦道路に上がって滝を越えてから再度入渓。
しばらく右岸を遡行すると、対岸の落込の奥に流れの緩いポイントが目に留まりました。
そこは誰が見てもの好ポイントなので、躊躇なくステルスもどきを打ち込みます。
毛鉤は水面のやや下を流しますが、すぐにオレンジのレベルラインが不明瞭ながら不自然な動きをしたと感じたため、軽くアワセると、やっぱりいました!
・・・いましたが、技能の未熟さ故か水面に顔を持ち上げてから痛恨のバラシ。それは、魚にとっては自らが口にした餌が偽物であることに完全に気付くであろうというレベルのバラシ方でした。
普通に考えると、この状況で同じ魚が同じ毛鉤に再び騙される可能性は極めて低いと考えられるので、そのポイントは見切って次を当たるのが合理的な行動でしょう。
しかし、手に残った魚の重みはそれがそこそこの良型であることを想像させるものだっただけに、諦めきれない私は気持ちとしては万に一つの幸運に賭けるくらいの思いで、もう一度同じポイントにキャスト。
すると、今度はすぐにラインが明確に流れに逆らって上流方向に動いたため、小さくアワセると、また掛かりました!
万に一つと思われた幸運が本当に訪れ、今度はバラしてなるものかと、たわわに撓る竿で2回ほど駄目押しのアワセを入れ、完全に鉤掛かりしたことを確信します。
慎重に岸まで引き寄せ、玉網で取り込むと、入っていたのはなかなかに見目麗しいイワナでした。
あのようなバラシをしながらまた掛かったので多分イワナだろうとは思っていましたが、その貪欲さに感謝しつつ体長を測ると22㎝ありました。
毛ばたきのハックルを持つバーコードステルスもどきでもイワナが釣れることを確認し、毛鉤はいい加減に巻いても釣れるの意を強くしました。
記念撮影後にサイダーゼリー色(色の表現は男鹿の湯HPより引用)の住処にお帰り頂きます。
その後、入山沢と見通沢の出合まで釣り上がり、見通沢を少し探りましたが、反応はありませんでした。
12:30頃納竿としました。
道中に聞く翡翠色の清冽な水の瀬音と山間に響く夏蝉の時雨は盛夏の趣ですが、ふと仰ぎ見るとモミジが微かに紅く色付きはじめ、路の下草からは秋の虫達の奏でる涼やかな音色が聞こえてきます。
また、中空を浮遊するアキアカネがその翅脈に張り巡らせた透明な膜を、燦々と降る陽光が煌めかせていました。
晩夏と初秋が混在する風景を楽しみつつ渓を後にします。
日光石臼挽き蕎麦 古代村
釣り用の足回りを解いてスニーカーに履き替えて入店し、座敷に座ります。
生ビールとせいろ蕎麦、野菜の天ぷらを注文し、まずは生ビールで渇いた喉を潤します。
やがて蕎麦と天ぷらが目の前に供されましたが、この料理には冷酒が欲しくなります。
この日の冷酒は国権酒造の「てふ」という銘柄だそうです。江戸時代にはこの辺りも会津藩の領内であったことに因んで福島の地酒を供しているとのこと。
個人的には福島の地酒が一番口に合うので迷わず注文し、蕎麦と天ぷらを肴に冷えたグラスを煽り、それらの抜群の調和を楽しませて頂きました。
エピローグ
古代村から中三依温泉駅までは徒歩5分ほど。14:35中三依温泉発の列車に乗車すれば夕方には帰宅出来る予定です。
余裕を持って駅のホームに到着すると、列車を待つ乗客は私一人でした。
ホームから男鹿の湯の管理棟を眺めつつ、今度はゆったり浸かってから帰るのもいいなと次の機会に思いを巡らせていると、やがてレトロな外観の野岩鉄道AIZUマウントエクスプレス6号が姿を現しました。
ちなみに今回の釣行費用について主だったものを以下の表にまとめましたのでご参考まで。ただし、交通費については東京駅発のケースですので、私が実際に負担した額とは異なっています。
項目 | 備考 | 金額 |
交通費 | 東京駅発を想定 | 5200 |
食事代 | せいろそば・野菜の天ぷら | 1400 |
酒代 | 生ビール・日本酒 | 1400 |
遊漁券 | おじか・きぬ漁業協同組合 | 1500 |
合計 | 9500 |
(おわり)
関連リンク
おじか・きぬ漁業協同組合/http://ojikakinu.web.fc2.com/
みよりふるさと体験村 男鹿の湯/https://www.nakamiyori.com/
日光石臼挽き蕎麦 古代村/http://www.kodaimura.com/