【実釣編】テンカラ釣りのキャスティング

【実釣編】テンカラ釣りのキャスティング

はじめに

テンカラ釣りのキャスティングには少しコツが要ります。

そのため、実用書などで事前に公園などでの練習を勧めている文章も目にしますが、今般、実際に公園でテンカラ釣りのキャスティングの練習をしていると怪しい人認定されるリスクが極めて高そうです。

筆者は二十数年前に、一度もキャスティング練習することなく実釣に臨みましたが、何とかまともにキャスト出来るようになるまでにはさほど時間を要しませんでした。

ちなみに当時は現在ほどレベルラインが流行っていなかったと思われ、私が使用していたラインはテーパーラインでした。

以上のような状況下で、15㎝ほどの岩魚を釣り上げることが出来ました。

よって、事前にイメージトレーニングでいくつかのキャスティングの方法を頭に入れておけば、練習は実釣を兼ねてフィールドで行うことで問題なく上達すると思います。

筆者が子供の頃に買った川釣りの本では、テンカラ釣りが達人の秘技のような難しい釣りとして紹介されていた記憶がありますが、今日においては道具が飛躍的な進歩を遂げたことによって、もともと極めてシンプルなシステムを持つテンカラ釣りは、むしろ取り付きやすい簡単な釣りへと変貌したように思われます。

以下、現在の主流となっているレベルラインのキャスティングを念頭にキャスティングについて説明していきます。使用するラインによって力の入れ方など若干の違いがありますが、キャスティングのフォームや竿の操作方法は共通です。

キャスティングの原理について

当然ですが、ラインをポイント目掛けて飛ばすためには力(パワー)が必要です。

ここで、力(パワー)について次の公式が成立します。

力(パワー)=質量×スピード

これは、遠い昔に習った「運動方程式」の公式であり、ニュートンの第二法則とも呼ばれています。

「運動方程式」を教科書的に表現すると、

F=ma

(F[N]:力、m[kg]:質量、a[m/s2]:加速度)

となります。

式の示唆するところは、質量m[kg]の物体にF[N]の力が作用した時、加速度a[m/s2]が生じるとすれば、これらの間に

F=ma

という関係(公式)が成り立つというものです。

運動方程式をグラフで表すと以下のようになります。

まず、加速度aと力Fについて図示します。

運動方程式において、加速度の大きさは力の大きさに比例します。簡単に言うと、「大きい力で物体を引っ張ったり押したりするほど、物体の加速度は大きくなる」ということです。

次は、加速度aと質量mの関係です。

加速度の大きさは物体の質量に反比例します。これは簡単に言うと、「同じ力F[N]で物体を引っ張ったり押したりするとき、質量が大きい物体ほど加速度は小さくなる」ということです。

これらをテンカラ釣りのキャスティングに当てはめて考えてみます。

一般的にテーパーラインやフライラインはレベルラインより重いです。重いラインなら振ることは簡単ですが、力が入りすぎるとラインで水面を叩くことにもなり、かえって力を入れないようにコントロールしなければなりません。

これとは逆に、レベルラインはテーパーラインやフライラインより軽いです。

ここで、運動方程式によれば、レベルラインでテーパーラインやフライラインと同じ力を得るためには、スピードをつければよいことになります。

レベルラインのキャスティングのキーワードは「スピード」です。普段テーパーラインやフライラインを使用している人がこれらを振るときのスピードでレベルラインを振っても力がないので全く飛びません。

このため、レベルラインは飛ばないとか難しいと思ってしまいますが、これはラインスピードが足りないからです。

また、軽いということは、ラインの重さが同じであれば細いということを意味します。ラインが細いほど風の影響が少なく、したがってレベルラインは風に弱いというのは正しくありません。

ラインが太いほど風の抵抗が大きいので、テーパーラインやフライラインのほうが風に弱い(より風の影響を受けやすい)と言えます。

レベルラインは風の影響を受けないようなキャスティングをすれば、向かい風でも全く影響されずにキャスティングすることが出来ます。

基本のオーバーヘッドキャスト

最初にオーバーヘッドキャストを練習し、軽いレベルラインで毛バリを飛ばすラインスピードを体得します。

グリップ

グリップを握るときは人差し指を伸ばして軽く添えます。跳ね上げの際、人差し指は竿が後ろに倒れるのを止める役割をします。

複数のテンカラ釣りの指南本に目を通しましたが、人によってはグリップの真上に親指を置くよう勧めているようです。本流テンカラなどで重い竿を扱う場合に、親指の力を利用したほうが疲労軽減に有効との意見もあり、フィールドごとにグリップを使い分ける必要はあるかもしれません。

姿勢

キャスティングの際の姿勢は、左右どちらかの足を前に出し、前の足に重心を掛けると安定したキャスティングが出来ます。

キャスティングの手順

 

矢引き振り

障害物で縦にも横にも竿が振れない場所やブッシュ(やぶ)の下、流木や岩が重なり合った隙間を通して毛バリを送り込むテクニックが矢引き振りです。矢引き、パチンコなどとも呼ばれています。

テンカラ釣りの指南書では紹介されることが少ないテクニックですが、頭上に枝が張り出していることが多い源流部や小沢ではかなり有効です。

このテクニックの位置付けは、通常のキャスティングのバリュエーションで対応可能な立ち位置がどうしても見つからない場合の最終手段というイメージですが、難しいポイントに比較的簡単に毛バリを送り込むことが出来るため、筆者はかなり多用しています。

キャスティングの手順は以下の通りです。

参考文献






実釣編カテゴリの最新記事